【旅の記録】福島へ、エンジンを迎えに

■ 磐梯の朝、待ち合わせから始まる

福島県磐梯町。道の駅ばんだいでカメラマンと待ち合わせ。
朝の空気はまだ少し冷たく、山の緑は深く湿っていた。

これから目指すのは福島県伊達市。若いオーナーから譲ってもらうSR400のエンジンを受け取りに行く。土湯峠を越えて、道は山と谷を抜けていく。

去年の夏、相馬へツーリングに行ったとき、この高速道路を走っていた。そのときは高いとは思わなかったけれど、今回は下から見上げてみて「こんなに高かったのか」とあらためて驚いた。
景色の角度が変わるだけで、見え方も、記憶の中の印象も変わっていく。

■ 伊達市に早く着いたので、竹林へ寄り道

約束の時間より早く福島市へ着いたので、近くの竹林へふらりと立ち寄る。
湿った地面には黒い筍が顔を出し、風にそよぐ竹の葉がリズムを刻む。

時間が静かに流れていた。エンジンの音がしない時間も、悪くない。

■ 20歳の青年から、エンジンを譲り受ける

伊達市で落ち合ったのは、20歳の若いSR乗り。
彼のバイクは年式は古いけれど、手が入っていて雰囲気がある。

譲ってもらうエンジンは、彼が使わずに保管していたスペアエンジン。
「中は開けてみてのお楽しみですね」と自分が言うと、彼も笑って頷いた。バイクが好きなんだなというのが、その雰囲気からよく伝わってきた。

気取らないやりとりが心地よく、道具を通じた静かな縁を感じた。

■ ラーメンに映るバングル

昼は福島市内の『麺や飯や 仁』でG郎系ラーメンを食べた。
濃いめの味でがっつりと。

写真を見返すと、知らぬ間にバングルが映り込んでいた。
日常の中に、自然に馴染んでいることがなんだか嬉しい。

■ 磐梯へ帰る、静かな道

帰りは行きと同じ道。だけど、見える景色は少し違う。

道の駅ばんだいに戻るころには、空も暮れていた。

エンジンをひとつ迎えに行っただけの一日。
でもその間に、思い出した景色があって、
交わした言葉があって、風の音があった。

バイクも、道具も、人も、こうして旅をしている。

今日もまた、バングルが静かにその旅の証を刻んでくれた。

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