見えないところを確かめる

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峠を越えて

土湯の風が濃くなる緑を揺らしていた。福島陸運局へと向かう、はじまりの上り。

車内、山を背にして

流れる風景を追いながら、無言でハンドルを握る。手元の静けさと、メーターの針。

光軸の先にあるもの

予備検査場でライトの調整を受ける。 ハンドル中通しの配線、タンクアップでつくる空気の流れ。 なかなか気づかれないところに宿る、機能のかたち。 水平基調が整うと、走る姿に芯が通る。

駐車場に降りるころ

ひと区切りついて、建物の白と空の青の間に立つ。音も動きも、一段落していた。

隣り合うものたち

軽トラと並んだ黒いタンク。荷物も積まず、ただ佇むその姿に、どこか品がある。

風景に戻る

検査を終えたあと、日本の原風景を縫うように走る。 ただ走るだけで、十分な時間が流れていった。

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帰ってからの、もうひと手間

終わったあとに見つかる、わずかな緩み。 道具を握る手元に、旅の余熱が宿っていた。 袖口で光る細い銀の輪が、何も言わずにそこにいる。 擦れ、刻まれ、時間を通ってきたものだけが持つ重み。 飾るのではなく、伴うものとして。

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