滝沢登山口に立つ
湿った土の匂いと、朝の冷たい空気。
木々の間を縫うように始まる登山道が、今日のすべてを予感させていた。

苔と水音の森
急登に息を切らしながら、苔むした岩や湧き水の気配に癒される。
ひとつ登るごとに、すこしだけ考えごとがほどけていく。

空と風の稜線
樹林を抜けると、光が広がる。
空は高く、風は静かで、景色は言葉を持たない。

中門岳、白い湿原
山頂から先、木道が導く景色は、もう別の時間の中にあった。
池塘に映る雲、揺れる草、なにも変わらず、なにも邪魔されない。

帰路にて
身体の芯に残る疲れと、心に残る静けさ。
それらを持ち帰ることが、この日のご褒美だったのだと思う。

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